エスペラント語の企画
近いうちに言語研の企画で「エスペラント語で何かを読んでみよう」という企画を始めたいと思います。本当は夏休み開始と同時に始めたかったのですが、私の多忙のせいで今のところ開始時期は未定になっております。エスペラント語は国際補助語として作られた人工言語です(くわしくはこちら)。できるだけ簡単に習得できるように作られているので非常に文法が明瞭で、ヨーロッパ諸言語の知識を合わせれば読むことはそう難しくはない(はず)ので、基礎文法の勉強会が中心でメンバーが固定化されつつある言語研のミーティングを刷新出来たらなと思っていたりします。
この企画は私が数回に分けて「読むためのエスペラント文法」を投稿し、それを読んできたうえで実際の文章(今のところはエロシェンコというロシアのエスペランティストの小説にしようと思っています)。基本的に予習はありませんし、言語研には私を含めエスペラント語をやっていた人はほとんどいないので、気軽に参加してください。詳しい内容について知りたい方や参加希望者は言語研究会のTwitterへお願いします。
さて、今回は第1回として文字と基本的な品詞について扱います。
文法事項①文字と発音
今回の目的は「読むこと」ですので、ここは最小限にとどめます。
アルファベット
ここでは標準の表記だけを示しますが、一部の独特の文字は別のものに置き換わる場合もあるので、もっと詳しく知りたい方はここに詳しく載っているので参考にしてください。
エスペラント語のアルファベットは以下の28種類です
A a | B b | C c | Ĉ ĉ | D d | E e | F f | G g | Ĝ ĝ | H h |
アー | ボー | ツォー | チョー | ドー | エー | フォー | ゴー | ヂョー | ホー |
Ĥ ĥ | I i | J j | Ĵ ĵ | K k | L l | M m | N n | O o | P p |
ッホー | イー | ヨー | ジョー | コー | ロー | モー | ノー | オー | ポー |
R r | S s | Ŝ ŝ | T t | U u | Ŭ ŭ | V v | Z z | | |
ロー | ソー | ショー | トー | ウー | ゥオー | ヴォー | ゾー | | |
原則としてエスペラント語は書かれた通りにローマ字読みで読んでいけばだいたい大丈夫です。
母音
エスペラントの母音は[a],[i],[u],[e],[o]の5つで日本語と同じです
同じ母音が連続したときには長母音になるのではなく、分けて読むのが特徴なくらいで母音に関して特に気をつけることはあまりありません。はっきりと発音することがポイントです。
子音
ここでは注意が必要な子音のみを掲載します。詳しく知りたい方はこちらで。
c 舌先を上の前歯の裏につけて発音する。日本語の「オトッツァン」のツの音。
ĉ 舌先を前歯の歯茎につけて発音する。日本語のチャ、チュ、チョに近い音。
f 日本語の歯と唇が離れた「ハ」と違い、上の前歯で下唇を軽く噛むようにして発音する。
ĝ 日本語の「ヂ」に近い音。ĉの有声音(濁音)
ĥ 喉の奥で息がこすれるような音。あまり登場しない。
j 強めのヤ行
ĵ 日本語の「シ」の音の有声音(濁音)に近い音。
l 舌先を上の前歯の裏につけて発音する。日本語にはない音。
r lよりも前歯の歯茎の上の方に舌をつけ、震わせて発音する。
ŝ 日本語のシャ行に近い音。
ŭ 日本語の「ワ」から母音のaを落とした音。母音ではなく子音。
v fの有声音(濁音)。前歯で下唇を軽く噛んで発音する。
アクセント
アクセントは常に後ろから2番目の動詞に置かれ、例外はありません。
文法事項②基本の品詞
基本の品詞
主要な品詞はそれぞれに決まった語尾がつきます。
名詞 [-o] oficejo [オフィツェーヨ]事務所
名詞は複数形の時は[-j]を、目的格の時は[-n]をつけます
形容詞[-a]afabla [アファブラ]親切な
主格 | 主格 | 目的格 | 目的格 | |
形容詞 | 名詞 | 形容詞 | 名詞 | |
単数 | -a | -o | -an | -on |
複数 | -aj | -oj | -ajn | -ojn |
副詞[-e] elkore [エルコーレ]心から
人称代名詞
| 単数 | 複数 |
1人称 | mi [ミ] 私 | ni [ニ] 私たち |
2人称 | vi [ヴィ] あなた | vi [ヴィ] あなたたち |
3人称 | li [リ] 彼 ŝi [シ] 彼女 ĝi [ヂ] それ | ili [イーリ] 彼ら/彼女ら/それら |
所有形容詞
エスペラントの所有形容詞は人称代名詞に[-a]をつけるだけで出来上がります。形容詞同様に数と格を一致させなければなりません。
Mi amas mian fianĉinon. (私は私のフィアンセを愛しています)
動詞
動詞は現在形が[-as]未来系が[-os]過去形が[-is]命令形が[-u]そして不定形(辞書形)が[-i]になります。
Mi estes studento. 私は学生です。(estesはestiの現在形。英語のbe動詞)
Mi estis studento. 私は学生でした。(estesはestiの過去形)
今回はここまでです。次回は格や様々な接尾辞・比較などを扱います。