音楽でフランス語~Je t’aime moi non plus – Serge Gainsbourg~

音楽でフランス語~Je t’aime moi non plus – Serge Gainsbourg~

ライター:大柴英斗

はじめに

Salut!
お久しぶりです。レポートやら試験やらでしばらく記事を書いてませんでした。
また、フランス語の歌詞和訳をやっていきます。筆者自身、フランス語にあんまり触れられていないので、リハビリを兼ねて頑張っていきます。

さて、今日扱うのはSerge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)とJane Birkin(ジェーン・バーキン)の歌う <<Je t’aime moi non plus>> です。夫婦だったこの二人の歌い上げるこの曲は、男女の情事を描写した過激な内容になっています。(そういうの無理な人は曲を聴くのも歌詞を見るのも勧めません。)発売当時から、賛否両論、物議を醸したようで、放送禁止曲となったりもしたようです。

1969年にGainsbourgとJane Birkinのデュエットで世に出されたこの曲ですが、1976年にはGainsbourg自身が監督、Birkinが主演を務め、同名 Je t’aime moi non plusで映画化されています。
そして今年2021年には、Gainsbourgの没後30年を機に、4K完全無修正版としてリバイバル上映されています。
東北大の位置する仙台でも、チネ・ラヴィータにて6/25(本記事の公開日)より上映開始です。

フランス語歌詞/和訳

Je t’aime, je t’aime
愛してる、愛してる
oh, oui je t’aime!

ああ、愛してる

moi non plus
俺は全然

oh, mon amour…
ああ、愛しい人

comme la vague irrésolu
揺れる波のように
je vais je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins

君の腰を
je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins

君の腰を
et je me retiens

俺はまだ大丈夫

je t’aime je t’aime
愛してる、愛してる
oh, oui je t’aime !

ああ、愛してる

moi non plus
俺は全然

oh mon amour…
ああ、愛しい人
tu es la vague, moi l’île nue

あなたは波で、私は裸の島
tu va et tu viens

あなたは行ったり来たり
entre mes reins

私の腰を
tu vas et tu viens

あなたは行ったり来たり
entre mes reins

私の腰を
et je te rejoins

あなたとまたつながって

je t’aime je t’aime
愛してる、愛してる
oh, oui je t’aime !

ああ、愛してる

moi non plus
俺は全然

oh, mon amour…
ああ、愛しい人

comme la vague irrésolu
揺れる波のように
je vais je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins

君の腰を
je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins

君の腰を
et je me retiens

僕はまだ大丈夫

tu va et tu viens
あなたは行ったり来たり
entre mes reins

私の腰を
tu vas et tu viens

あなたは行ったり来たり
entre mes reins

私の腰を
et je te rejoins

あなたとまたつながって

je t’aime je t’aime
愛してる、愛してる
oh, oui je t’aime !

ああ、愛してる

moi non plus
俺は全然

oh mon amour…
ああ、愛しい人

l’amour physique est sans issue
もう抜け出せない(性愛に出口はない)
je vais, je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins

君の腰を
je vais et je viens

俺は行ったり来たり
entre tes reins
君の腰を
et je me retiens

俺はまだ大丈夫

non ! maintenant
Viens !

解説

moi non plus

これ、実は文法的に間違っているのです。
①肯定文に対して「私もです」という場合、moi aussi
②肯定文に対して「私は違います」という場合、pas moi
③否定文に対して「私も違う」という場合、moi non plus
④否定文に対して「私はそう」という場合、moi si

を使います。
ここでは肯定文に対して③moi non plusを使っているのです。
日本語にすれば
バーキン「愛してるわ」
ゲンズブール「俺も愛してないよ」
ということですね…

このように詩においては必ずしも文法的に正しいことはなく、あえて謝った表現を使うことで、なんだが深みが出る言葉になったりするわけですね…

「愛してるわ」にmoi aussi(「俺も愛してる」)と安易に返さないこの感じ、大人同士のなんだが難しい掛け合いで、私にはさっぱりです()

je me retiens

se retenir には「耐える」「こらえる」という意味があります。ここではその意味を組んで「大丈夫」と訳してみました。どんな意味かって…?まあ、そりゃそういうことなんじゃないかな…。この曲、難しいです…w

entre tes reins  (中略) entre mes reins

entreは「~の間に」てな意味です。君の腰の間で、私の腰の間で、てことですね。一回目、ゲンズブールが歌うときは男性目線で「俺」が「君」の腰の間を行ったり来たりするわけですが、二回目、バーキンが歌うときは女性目線で「あなた」が「私」の腰の間を行ったり来たりします。同じ情景を2つの目線から歌っています。(まあつまりこの曲が描写している情景はかなり限定的というわけ)

l'amour physique est sans issue

amour phisiqueで「肉体愛」、「性愛」という意味になります。sansは「~なしで」、issueは「逃げ道」「出口」というような意味で捉えると、「性愛に出口はない」という感じなんですけど、なんだが説明的になってしまって、2人の状況にそぐわないかなぁなんて思ったので、「抜け出せない」って訳してみました。センスのある美しい日本語で訳すのは難しいですね…。

終わりに

という訳で久しぶりにフランス語の歌詞和訳やってみました。

実はSerge Gainsbourgの曲は以前にも扱っていて、以前は映画ANNAで使われているSous le soleil exactmentを和訳してます。是非、併せてどうぞ。
今年はゲンズブール没後30年ということで、また彼の曲をどこかで扱いたいなと思います。

しかしこの曲は、文法自体は簡単でも、訳すとなるとなかなか難しいものがあったなぁと…w

このJe t’aime moi non plus(ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ)の同名映画が、仙台では記事の投稿日(6/25)より上映されています。是非見に行って見てくださいね。私も見に行くつもりですが、今から楽しみです。

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