音楽でフランス語~Non, je ne regrette rien – Edith Piaf~

音楽でフランス語~Non, je ne regrette rien – Edith Piaf~

ライター:大柴英斗

はじめに

Salut! 今日も歌詞翻訳やっていきましょう。今日の曲はEdith Piaf(エディット・ピアフ)の≪ Non, je ne regrette rien ≫です。邦題では「水に流して」というタイトルが付いている場合もあるようですね。

はい…今回も古めの曲です。なんなら今までで一番古いかも。

しかしこの曲、クリストファー・ノーランの「インセプション」にも挿入歌として使われています。夢の中に侵入して、相手の潜在意識にアイデアをすり込むというミッションを遂行するこの「インセプション」。ここでは侵入した夢の中から、元に戻る時の合図として主人公達がこの音楽を用います。

そして、クリストファー・ノーランは更なる仕掛けを…

始めに流れるのはインセプションのメインテーマ。次に流れるのが、≪ Non, je ne regrette rien ≫。そして最後が≪ Non, je ne regrette rien ≫をスローにしたものです。≪ Non, je ne regrette rien ≫をスローにすると、インセプションのメインテーマにそっくりなのです!

夢の中に入ると、時間の流れがゆっくりになるという設定があり、その設定を音楽とうまく結びつけた見事なテーマソングです。

そして、その歌詞にも、実は物語と通ずる部分があるのです。(多分、終わりに、にはネタバレが含まれます。お気をつけください。)
ということで歌詞和訳行ってみましょう!

フランス語歌詞/和訳

Non, Rien de rien
本当に何もない
Non, Je ne regrette rien

私は全く後悔していない
Ni le bien qu’on m’a fait Ni le mal

良いことも悪いことも
tout ça m’est bien égal!
全て私にとってはどうでも良い

Non, Rien de rien
本当に何もない
Non, Je ne regrette rien

私は全く後悔していない
C’est payé, balayé, oublié

償い、精算し、忘れ去った
Je me fous du passé!

過去は私にとってどうでも良い

Avec mes souvenirs
私の思い出と共に
J’ai allumé le feu

火を灯した
Mes chagrins, mes plaisirs

私の悲しみ、私の喜び
Je n’ai plus besoin d’eux!

もう私には何も要らない

Balayées les amours
愛は捨てた
Avec leurs trémolos

その震えと共に
Balayés pour toujours

全て捨てた
Je repars à zéro

私はゼロからやり直す

Non! Rien de rien
本当に何もない
Non, Je ne regrette rien

私は全く後悔していない
Ni le bien, qu’on m’a fait
Ni le mal
私の良い行いも悪い行いも
tout ça m’est bien égal!
全て私にとってはどうでも良い

Non! Rien de rien
本当に何もない
Non! Je ne regrette rien

私は全く後悔していない
Car ma vie, car mes joies

私の人生、私の喜びなのだから
Aujourd’hui, ça commence avec toi!

今日、君と共に始まる!

解説

Je ne regrette rien

rienはneと共に使って、「何も~ない」を表します。イメージ的にはneverみたいな感じ。つまりここでは「何も後悔しない」になるわけです。regretteは英語とそっくりですね。

Ni le bien qu’on m’a fait Ni le mal

niはneと共に使って、ne+動詞+ni A ni Bで「AもBも~ない」になります。上の
je ne regrette rienから続いて、「良いことも悪いことも何も後悔していない」ということですね。

ça m’est bien égal

ça m’est égal で「どちらでもよい」という意味を表します。

leurs trémolos

ここだけではなく、今回は結構解釈に悩んだところがありました。
ここはleursと複数の所有形容詞になっているので、直前のamoursのことだと解釈し、「愛の震え」と考えました。こんな解釈が正しいんじゃない?というのがあればお教えください。trémolosは「トレモロ奏法」などのトレモロですね。震音だとか、震え声とかそんな意味です。

Car ma vie, car mes joies

carはクルマではないですよ。フランス語でクルマはvoitureです。
接続詞で「~だから」「というのは」といった意味です。なので、ここは「私の人生なのだから」「私の喜びなのだから」という意味として捉えました。(しかし、ここもあまり綺麗な訳ではない…何か他の読み方があればお教えください!)

終わりに

ということで、今日は≪ Non, je ne regrette rien ≫を訳してみました。

歌詞を見たら、映画見た人は分かるかもしれませんが、物語と通ずる部分がありますよね。劇中で、主人公は亡くなった奥さんの幻影に苦しめられ続けます。その奥さんへの執着や自責の念を捨て去らんとする主人公の心情にも似た歌詞になっています。

では、今日はこの辺で。最近のフランス音楽、探してみないと…。

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