ライター:大柴英斗
はじめに
Salut!
今日の「音楽でフランス語」では、Serge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)の”Sous le soleil exactment”を和訳していきます。

映画”Anna”のなかで主演のアンナ・カリーナが浜辺でこの歌を歌い上げるシーンは印象的です。去年、リマスター上映があったので、映画館で見ましたが、その帰路でこの曲を何度も聞いてしまいました。繰り返される”Sous le soleil”が、頭に残ります。”Sous”はフランス語の前置詞で「~の下」を表します。”Sous le soleil”は「太陽の下」それに副詞”exactment”が付いているので、「太陽のちょうど下」「太陽の真下」って意味のタイトルになります。
フランス語歌詞/和訳
アンナ・カリーナ版とは違う魅力がある。
Un point précis sous le tropique
回帰線の真下のどこか
Du Capricorne ou du Cancer
南回帰線か北回帰線か
Depuis, j’ai oublié lequel
どっちか忘れてしまった
Sous le soleil exactement
太陽の真下
Pas à côté, pas n’importe où
となりでも、どこでも良くもない
Sous le soleil, sous le soleil exactement,
太陽の、太陽の真下
juste en dessous.
ちょうど真下
Dans quel pays, dans quel district ?
どの国だったか、どの地域だったか
C’était tout au bord de la mer
それは海辺だった
Depuis, j’ai oublié laquelle
どこだったかは忘れてしまった
Sous le soleil exactement
太陽の真下
Pas à côté, pas n’importe où
となりでも、どこでも良くもない
Sous le soleil, sous le soleil exactement
太陽の、太陽の真下
juste en dessous
ちょうど真下
Était-ce le Nouveau-Mexique
ニューメキシコだったか
Vers le Cap Horn
ホーン岬の辺りか
Vers le Cap Vert
ヴェルデ岬(カーボベルデ)の辺り
Était-ce sur un archipel ?
それとも群島のどこかか
Sous le soleil exactement
太陽の真下
Pas à côté, pas n’importe où
となりでも、どこでも良くもない
Sous le soleil, sous le soleil exactement
太陽の、太陽の真下
juste en dessous.
ちょうど真下
C’est sûrement un rêve érotique
それはきっと、目を開けながら見た
Que je me fais les yeux ouverts
エロティックな夢だったのだろう
Et pourtant si c’était réel ?
しかし、それが現実だったとしたら
Sous le soleil exactement
太陽の真下
Pas à côté, pas n’importe où
となりでも、どこでも良くもない
Sous le soleil, sous le soleil exactement
太陽の、太陽の真下
juste en dessous.
ちょうど真下
解説
Un point précis sous le tropique
“précis”は「正確な」「ちょうど」という意味の単語です。これ、何かに似ていませんか??そうです、英語の”precise”です。その前の”point”は「点」「地点」という意味で、英語と全く一緒の綴りです(発音は違います)
このように、英語とフランス語はよく似ている訳ですね~。
Du Capricorne ou du Cancer
ここでの”Capricorne”と”Cancer”は”du”(de leの縮約)で前の”tropique”と繋がっているので、単体で「山羊座」「蟹座」を表す言葉ではなく「北回帰線」「南回帰線」を表します。
Pas à côté, pas n’importe où
“à côté”と”n’importe où”をpasで否定しています。
“n’importe ~”は「重要ではない」=「なんでもいい」という意味を表し、~に疑問視を入れることで、様々な「なんでもいい」を表現できる非常に便利な表現です。(importe つまりimportent「重要な」を否定していると考えると成り立ちが分かりやすいかも)
例えば…
n’importe où は どこでも(よい)
n’importe quoi は なんでも(よい)
n’importe qui は 誰でも(よい)
という意味になります。
C’est sûrement un rêve érotique
Que je me fais les yeux ouverts
この文は”que”が関係代名詞として、un rêve érotiqueにかかっていると考えてみると、「目を開けた状態で見たエロティックな夢」と読むことができそうです。
Je me faisに関しては、解説すると長くなりますが、前回訳した“Salut”でもよく使われている表現なので、気になる場合は”se faire”で検索してみてください。簡潔に述べれば、使役のfaireの対象がme、つまり自分に向いているというわけです。
終わりに
映画の中でもかなり印象的なこの曲。曲調もそんなに早くないので、歌ってみてフランス語の雰囲気を感じ取って見てください!
今回、表現が詩的な部分もあり、少し翻訳に苦戦しました。(うまく読み取れなかったところはネイティブの友人に聞いたりしました)
誤読や解釈の誤りがありましたらご連絡ください。
あと、この曲訳して!みたいなリクエストがあれば訳してみるかもしれません。大柴のTwitterが言語研のTwitterまでお願いします。では~。
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