こんにちは、会長です。というわけで続編が出せそうだったので今回もノガイ語についてゆるりと書いていこうかなと思います。
今回は少しテキストを読む余裕が十分に取れなかったので、多少荒い感じになってしまうでしょうが、ご了承ください。
さて。前回までで発音を見てきたわけですが、母音のところはさておいて、子音についてはカザフ語(というかテュルク諸語のそれ)と大きく外れているわけではないということを書いていたかなと思います。
他にも多少触れるべきものはあるように感じますが(例えばカザフ語で語頭のr, l音の前に狭母音が挟まっているのが正書法では反映されていないのに対してノガイ語ではちゃんと反映されているというものなど)ひとまず母音調和ら辺について書こうかなと思います。前回と同様に、原文がロシア語のものを訳しながら読んでいるので解釈が違うという点がございましたらお知らせください。
さて、ノガイ語の母音の構成は前回のもの(以下の画像)であるとのことでしたが、他の大半のテュルク諸語と同様に、このノガイ語においても、母音調和がという現象が存在します。この現象は、語幹の末尾の母音のグループに合わせて、接辞が選択されるという現象のことを指していますが(おそらくもう少しマシな記述が本当はあると思うのですがここではそこら辺の説明は他の専門家の方にお任せしたいです)、他のテュルク諸語と同様にノガイ語でも前舌vs後舌というような分かれ方をします。すなわち、語幹の最終音節が前舌母音なら接尾されるのは前舌母音を含むもの、後舌母音であれば接尾されるものは後舌母音であるということですね。

ひとまず、例を見てみましょう。ここでは複数形 -lar, -lerを例にとって見てみましょう。
注意:以降はノガイ語もカザフ語も基本的にはラテン文字(便宜上、トルコ語のアルファベット表記を基準に作成したもの)で表記いたします。というのも、このサイトではキリル文字は問答無用で全角で表記されてしまうので…。ひとまず、これに関する対照表は次回の記事で整理して出すのでお許しください。
Nogay: at 馬→atlar bala 子供→balalar söz 言葉→sözler el 国→eller
Kazakh: at 馬→attar bala 子供→balalar söz 言葉→sözder el 国→elder
と言った感じになります。(比較用にカザフ語のものを下に並べてます)左二つが後舌母音のaを最終音節の母音として持っているため、-larという接辞が付加されたのに対して、右の二つがöとeという前舌母音を最終音節の母音として持っているために、-lerという接辞が付加されたということですね。
カザフ語と違って、語幹の最後の音によっても接尾されるものが変わるという現象がないので幾分わかりやすい方ではないかなと思いますね…。
*まだ十分に読めているわけではないのでここは話半分くらいに読んで欲しいのですが、この複数形はスペル上は-lar, -lerという2つだけになっているのですが、ノガイ語において、鼻音(m, n, ŋ)の後に付加されると、その異音である-nar, -nerというようなものとして発音されるようですね。(スペルには反映されないようです)
母音調和に関しては基本的にはカザフ語を始めとするテュルク諸語と大幅に変わるわけではないようですね。次に、円唇調和についても簡単に触れておいて今回は終わりにしましょう。
円唇調和は、これまた大雑把に言うと第1音節が円唇母音であるとき、第2音節以降も円唇母音になる(もしくはその傾向がある)というものです。
ここら辺の扱いはテュルク諸語の各言語の間でも結構違うと思いますので、一概にどうとは言えないのですが、カザフ語については基本的に円唇母音(o, ö, u, ü)は第一音節にしか書かれないとされています(複合語や借用されて年月が浅いものなどはこの限りではありません)。しかし、第1音節が円唇母音であるときは、第2音節以降の非円唇母音はaを除いて(実はäも除外されるのですが、基本的に第2音節以降で出てくるのが少ないために括弧書きになってます)円唇化する傾向があるとされています。
özen 河川→özön* üşin 〜のために→üşün* orın 場所→orun* 等々です。
ノガイ語においてもこれは同様らしく、基本的に円唇母音は第1音節にしか現れないものの、円唇調和自体は発生するようですね。(例はさっと調べた限りカザフ語と全く同じだったので割愛します)
今回もカザフ語と見比べてノガイ語がどんな感じだったのか見ていただきました。ノガイ語に関してはそもそもの資料が少なめで、まだ十分に把握できてないところがあるので手探りになりそうですが、またある程度情報が纏まったら続編を書くと思いますので、よければまたご覧ください。
それでは、また次回。(画像はWikiから取ってきたノガイ・オルダの旗です)